感覚が伝わる経路は、肉体各組織にある感覚受容器で感覚を感じると思われがちですが、そうではなく、
感覚受容器から、末梢神経 → 神経根 → 脊髄 → 脳幹と視床といった神経系を経由していきます。
施術する側の視点として大事なことは、その原因を見抜けなければ、治療の指針は立たない。
よって、症状のある部分にだけ刺鍼するとか、薬物で解決するとかは、対症療法でしかなく、本質的な解決にはなりえません。
したがって手のしびれを訴える人が来院すれば、さまざまな原因を考えるべきであります。
それを踏まえ、まず、器質的な障害、物理的な神経の圧迫が手のしびれになる原因は、以下のケースが挙げられます。
◕ 手根管症候群
手首の掌(てのひら)側(手の親指側)を走行する正中神経が、何らかの物理的な刺激を受け症状が発現するものです。
手根管とは、手の関節の骨と靭帯(じんたい)で構成された、パイプのような組織で、そのなかを、正中神経と9本の指を曲げる筋肉の腱が通っています。
その手根管内の圧力が上がり正中神経が圧迫され、様々な手や指先の症状が起こることを指した言い方です。
"しびれ"が発現する部位として、人さし指、中指、薬指の3本の指がしびれる症状が出たら、まず手根管症候群を疑います。そしてこの場合神経経路が違うので、小指にしびれは診られない場合が多いです。
◕ 尺骨神経管障害(ギヨン管症候群)
尺骨神経管(ギヨン管)とは小指球(手の平の小指側にある肉の盛り上がり)にある尺骨神経の経路です。
尺骨神経がこの部分で物理的な圧迫を受ける病態をギヨン管症候群(尺骨神経管症候群)といいます。
前述した手根管症候群とは違い、小指と薬指の尺側(小指側)のしびれが出現します。
◕ 肘部管症候群
肘の内側の肘部管で、物理的刺激、圧迫や引き延ばしを受けて発現します。この場合、尺骨神経管障害(ギヨン管症候群)とは違い、小指の背側のしびれがあります。
◕ 頚椎の異状によるしびれ(頚椎ヘルニア、老化による軟骨の変形、他、頚椎性脊髄症など)
頚椎から、腕に伸びる神経は、頚椎から出る脊椎神経がむらがるので(叢)、腕神経叢と呼称されます。
したがって、頚椎の異常は、腕のしびれにつながることが多く、腕のしびれから頚椎の変形などを疑うことも多々あります。
腕神経叢は、大体以下の構成になっています。
第5頚髄神経根(C5)、肩。
第6頚髄(C6)、肘。
第7頚髄(C7)、肘と手首。
第8頚髄(C8)、手首から先、指。
第1胸髄(T1)、指の運動。
(Cは頚椎、Tは胸椎を指す)
実際のはり(鍼)治療としては、腕のしびれを中心に訴えているケースでも、やはり全身の状態を診なければならず、上記の要因以外にも、糖尿病、甲状腺の病気、妊娠(浮腫の発生)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、脳腫瘍、脳炎などの可能性も考慮して判断するべきです。
手のしびれとともに感じる症状として、肩が凝った首が凝った頭痛がする耳鳴りめまいを感じる...
手のしびれは手そのものだけの問題ではなく、頚椎から出る神経が、腕神経叢(わんしんけいそう)を構成しているからです。
また頚椎近隣の組織の異常や、官能的疾患(生体内電流の異常)も、手のしびれを引き起こしやすいので、その原因を見抜く視点を持っていなければならず、医師が行うレントゲンやMRIなどの画像だけでは、これらによる原因を特定できないことが多いのが現状です。
実際の治療としては、全身の状態を診て、全身のはり(鍼)治療を行うべきです。
北九州市小倉北区真鶴 しんじゅろう鍼灸接骨院 スポーツ障害専門治療 オスグット、シンスプリント、つきゆび、肉ばなれなどお悩みの症状は相談してください